心タンポナーデ

心タンポナーデとは心臓の外側の膜である心膜と心臓の筋肉である心筋の間に液体(心のう水)が溜まり、その結果、心臓が圧迫されうまく心臓が機能していない病態のことを言います。

心機能が落ちる為に全身にうっ血をおこして腹水(おなかの中に液体が溜まる)やむくみ、病態がすすむと急性心不全に陥り急変することもあります。

心のう水の原因は
●心臓の腫瘍
●慢性の弁膜症の悪化
●外傷による心臓からの出血
などがありますが中には原因がわからない「特発性」というものもあります。

診断に際し、まず問診・症状・身体検査で循環器の病気であることがわかります。その後、胸部X線検査・胸部超音波検査を行い拡大した心臓、心膜の中に心のう水を確認できれば確定診断になります。

心のう水の原因については超音波ガイド下での心膜穿刺(心膜に針をさす)により、とれた心のう水の検査やその他全身の検査をすることにより明らかになります。ただし超音波検査の結果、心臓腫瘍が明らかな場合には心膜穿刺を行うと心タンポナーデが悪化してしまう場合があるので注意が必要です。

何度も再発を繰り返す症例には開胸をして心膜を切る心膜切開を行う場合があります。

当院に来院した症例は、他院にて原因不明の腹水・胸水と診断され様々な薬を飲んでいました。
問診と症状、身体検査から心臓の病気が疑われることをお話しして胸部X線検査と超音波検査を行いました。
X線検査で心臓の拡大像、超音波検査で心のう水が確認されました。

その結果、心タンポナーデと診断がつき、原因についても腫瘍や出血が否定されたので、特発性の心のう水として治療を開始しました。

今現在、再発はなく内服もほとんどない状態で維持できています。心のう水が溜まっていないか定期的に超音波検査に来院していただいていますが、状態は安定しております。このまま再発がないようにしていきたいですね。

オハナペットクリニック
院長 辻川俊介

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