特発性てんかん

「てんかん」という言葉は時々耳にすることがあると思います。
専門的なお話ですが、てんかんの定義とは「大脳ニューロンの過剰な発射により発作を繰り返す慢性の脳疾患の総称」となります。

なかなか堅苦しいですよね。

ここでポイントなのが、てんかんは発作を繰り返す病態だということです。なので、1回発作が出ただけではてんかんとはいわないということが大事なことです。

今日はてんかんの中でも「特発性てんかん」についてお話いたします。
特発性てんかんとはてんかんの中でも脳に腫瘍や血栓等の病気がなく、脳以外(中毒・肝臓・腎臓etc)にも特に異常がないにもかかわらず、てんかん発作をおこす病気です。

実はこの「特発性てんかん」はワンちゃん全体の1.5%がかかっているのです。意外に多いですよね。

好発犬種だと8%ともいわれています。好発犬種はイタリアン・グレイハウンド、ボストンテリア、ビーグル、シベリアンハスキー、トイ・プードル等があります。トイ・プードルは特に茶色の毛の子が多いといわれています。

診断としては
1・てんかん発作を確認する
2・脳以外の病気・原因を除外する
3・脳の病気を除外する
の順番になります。

1は、お家で起こした発作のムービー等を見せていただけるとすぐにわかります。
初めての発作で動転してムービーがとれなくてもしっかりとお話を聞かせてもらえれば大丈夫です。
2は血液検査にて肝臓や腎臓、カルシウムやミネラルの数値に異常がないかをチェックいたします。
3は【神経学的検査】という検査を行うことによりおおまかに
脳神経異常から起こる発作と特発性てんかん』に分けられます。

確定診断には脳のMRIが必要になりますが、必ずしも必要なものではなく、一般的には「1~5歳に始めて発作が起こり、好発犬種や小型犬で血液検査、脳神経学的検査に異常がない場合」に、暫定的に『特発性てんかん』になります。

この『特発性てんかん』の治療は、「発作が出た時に薬をのみましょう!」というわけでもなく、薬を飲む=生涯投与になります。また「一回発作が出たから心配だから薬をのみましょう!」というわけでもなく、一か月に2回以上の発作が出た場合が薬を飲ませる基準になります。

治療に関してもいくつかポイントがありますが、長くなりましたので治療に関してはまた別の機会にお話しさせていただきます。

発作やてんかんについて気になることがあればいつでもご相談下さい。

オハナペットクリニック
院長 辻川俊介