肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫

今日は未去勢のオスにできる事の多い『肛門周囲腺腫』についてお話致します。

肛門周囲腺腫とは肛門(お尻)のまわりの皮膚に存在する皮脂腺ができものになってしまう良性の腫瘍です。

この腫瘍は未去勢の高齢のオスに多くみられますが、メスにもみられることがあります。

その名の通り基本的に肛門の周りにできる事が多い腫瘍ですが、尻尾や包皮にもできる事があります。

ちなみに、ネコではこの腫瘍はできないといわれています。

 

診断は針をさして細胞をとる細胞診で比較的容易に診断がつきます。

ただし、細胞診だけでは悪性である『肛門周囲腺癌』との見極めはなかなか困難であり(つまり悪性か良性かはとってみないとわからない事が多いということです)、良性であっても、ある程度大きな腫瘍になってしまうと出血したり、痛みがでてずっとなめている事もあるので、基本的には手術をおすすめします。

 

この腫瘍はアンドロジェンという雄性ホルモンが大きく関わっているため、去勢手術により小さくなる事があります。元々小さな腫瘍であれば去勢手術だけでも消えてしまう事もあります。

逆に、腫瘍だけ切除をして去勢手術を行わないと手術後に新たに腫瘍ができてしまうリスクがあります。

 

若い時に去勢をしておけばこの腫瘍の発生はかなり抑えられるので、去勢をするメリットはこんなところにもあります。

 

今回の症例は13歳の秋田犬でした。

肛門部位の腫瘍からの出血という事で来院されました。

かなり大きな腫瘍でした。

細胞診検査を行うと肛門周囲腺腫を疑う細胞がとれました。

ただ、前述した様に悪性の可能性もあることと、何より大きな腫瘍であったので今回は

去勢手術と腫瘍切除手術を行いました。

 

 

結果は良性の『肛門周囲腺腫』でした。

飼い主さんも一安心で次の日には退院し、元気にしています!

 

悪いものでなくてよかった!

まだまだ元気でいてね!