潜在精巣

今日は「潜在精巣」に関してお話します。

 

オス犬では通常生後30日前後で、おなかの中にあった精巣が陰嚢内におりてくるといわれています。その時期には個体差があり、大型犬では2ヶ月以上かかることもあります。

 

しかし、その時期に達しても精巣がおりないことがあり、これを「潜在精巣」(または「陰こう」)といいます。両側でも片側でも発生し、本来は陰嚢内にあるべき精巣が、おなかの中または内股の皮下に留まったままになってしまう病気です。

 

潜在精巣は、正常におりた精巣よりも高い温度にさらされるため、精子をつくる能力が低下し、また腫瘍になりやすいといわれています。正常の精巣よりも約40倍の確率で腫瘍になりやすいとの報告もあります。5歳を過ぎると腫瘍化する可能性が高いと言われているため、早めに去勢手術で摘出することが推奨されます。

 

精巣腫瘍の種類は様々ですが、貧血や脱毛、乳房が張ったり乳汁が出たりメス化の症状を示すこともあります。腫瘍の種類や状態にもよりますが、命に関わることもありますので、早期発見・早期予防としての去勢手術が大切となります。

 

また潜在精巣は遺伝の可能性があるため、繁殖には適しません。

 

 

 

 

 

 

左:潜在精巣    右:正常の精巣

潜在精巣は通常の精巣よりも小さいことが多い。

 

子犬をむかえたら定期的に精巣の位置を確認し、陰嚢内に2つ触れるかどうか確認してあげてください。もしも精巣が触れない場合はいつでも病院にご相談くださいね。

 

 

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