ヘモプラズマ感染症
こんにちは。
今回は『ヘモプラズマ症』という感染症についてお話します。
ヘモプラズマとは、マイコプラズマと呼ばれる細菌の一種で、
赤血球の表面に寄生するものです。
感染の経路は完全に解明されたわけではありませんが、
ダニによる吸血や咬傷、母子間の垂直伝播が可能性
として挙げられています。
猫🐈での感染が多いと言われており、
特に 猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)
に感染している猫での発症例が多いとされています。
主な症状としては、食欲・元気の低下、貧血、黄疸、
発熱、可視粘膜蒼白、脱水などが見られます。
ヘモプラズマが赤血球表面に寄生することで溶血性の貧血を起こします。
今回の症例は、2歳の猫さんで、元々猫免疫不全ウイルス(FIV)
が陽性の子でした。
来院の数日前に後肢に傷ができ、どんどん広がってきている
という主訴でした。
軽度の発熱(39.2℃)があり、傷周囲の皮膚は黄色く、血液検査にてビリルビンの高値、再生性の貧血が見られました。
血液を顕微鏡で観察すると、写真のように赤血球の表面に点状物が確認できました。
ヘモプラズマは特定の抗生剤での治療に反応するので
抗生剤を投与し、皮膚の状態と血液検査でのモニター
を実施、PCR検査にてヘモプラズマは陰性になりました。
猫免疫不全ウイルスに感染している子は傷の治りが遅い
傾向にあるので、現在も治療中ではありますが、
少しずつ改善が見られ、貧血も改善傾向にあります。
今回の子は大丈夫でしたが、貧血が重度の場合は輸血も考慮されます。
ヘモプラズマに対しては現状有効なワクチンがないため、
予防としては、
「ウイルスに感染している子との接触を避ける」
「完全室内飼いで外に出さない」
「室内でもノミダニの予防薬を行う」
などが挙げられます。
ノミダニの室内猫さんに関しては、予防を迷われたりわからない方も多いので、ぜひ一度ご相談にいらしてみてください。
豊田