猫の特発性高カルシウム血症

こんにちは。
急に気温が下がり、やっと秋らしい気候になってきましたね。
 
 
オハナペットクリニックでは現在「秋の健康診断」として、通常よりもお安く血液検査が画像検査などの健診を行うキャンペーンを実施しています。
 
今回お話するのは、普段症状はないけれど、検査をして初めて分かるような猫ちゃんの代謝性疾患です。
 
 
 
血液中のカルシウムはパラソルモン(PTHまた上皮小体ホルモンともいう)、ビタミンD、カルシトニンという物質によって調節されています。
 
しかし何らかの理由で、血中のカルシウムが12mg/dlを超えてしまうと、高カルシウム血症と診断されます。(厳密には検査機器の基準値にもよります)
 
 
高カルシウム血症には原因があり、一般的には上皮小体の病気、腎不全、悪性腫瘍、骨の炎症などが考えられますが、猫ではその半数以上が特発性といわれています。
 
 
特発性とは、原因や機序がよくわかっていないということで、つまり猫では原因不明の高カルシウム血症が多いことになります。
 
といっても診断は、高カルシウムになる他の原因を除外することからはじまります。
 
猫だから特発性と判断するわけではなく、様々な検査をし、血中カルシウムがあがるような原因が他になければ、初めて特発性高カルシウム血症という診断になります。
 
 
特発性の高カルシウム血症は13〜15mg/dl程度の軽度上昇ことが多いため、それ自体が症状を引き起こすことは少ないです。(重度の上昇だと筋肉や腎臓などに異常を起こしてしまいます)
 
しかし日々の診察で、なんとなく元気がない・食欲がないといった猫ちゃんに検査を行うと、高カルシウムが見つかることもあります。
 
 
治療は、第一にフードの変更から行います。高繊維食や腎臓用の療法食を与えるようにします。
 
特定のフードだけに反応する場合もあるので、1つのフードで効果がなくても、いくつか他のフードを試す価値はあります。
 
フードの変更に反応しない場合は、内服薬で治療する場合もありますが、投薬するメリットとデメリットをしっかり考えた上で治療を行うことが重要です。
 
 
軽度の高カルシウム血症であれば、命に関わることは少ないです。
 
しかし、猫は加齢とともに腎臓を悪くすることも多く、腎不全になった場合は予後に影響します。
 
 
高カルシウム血症は検査で偶発的に発見されることも多いので、定期的な健診で血液検査をしておくと安心だと感じます。
 
 
二階