薬剤耐性菌
こんにちは
もう11月も終わりですね
今年は暑い日が長く続いて、急に寒くなって、私もですが
体調を崩してしまう方が多いので皆さんもお気をつけください
今回のテーマは 薬剤耐性菌 です
人と同様に、犬や猫でも 膀胱炎や皮膚炎を中心に多くの病気で 細菌が悪さをしていると考えるときに抗菌薬(抗生剤)を処方します
※抗菌薬、抗生剤、抗生物質は厳密には違いがありますが、一般的にほぼ同じ意味で使われることが多いので以下抗菌薬に統一します。
抗菌薬がしっかり効いてくれれば病状は改善してきますが
抗菌薬を使ってるのになかなか治らない・・・
そんなときに獣医師は「(薬剤)耐性菌がいるかもしれないので細菌培養・薬剤感受性試験の検査をしましょう」と言います
検査の結果は数日から長いと1週間近くかかります
検査結果が返ってきました
培養同定されたのは
Staphylococcus pseudintermedius(ブドウ球菌) です
※皮膚によくいる菌
そして この検査で培養同定された菌は薬剤耐性菌でした
2.薬剤感受性検査結果 の欄に(用紙中段)
左側に 抗菌薬の薬剤名
その隣の 判定 の列 には “R” “S”と書いてあります
“R”は 薬剤耐性 で その抗菌薬は効きません
”S”は 薬剤感受性 で その抗菌薬は効きます
この子は 他院で皮膚の治療をしていましたが、治らないとのことで当院にやってきました
治療が間違ってるわけではありませんでしたが
薬剤耐性菌のせいで 処方されていた抗菌薬は効かず 治らない状況だったのです
いまは 検査のおかげでしっかり効く抗菌薬を選んだので良くなっていっています
さて、実は毎年11月は「薬剤耐性対策推進月間」だったらしいです
薬剤耐性の普及・啓発を通じて、一人ひとりの理解を促進します と、SNSで情報が流れてきました
↑の写真のように薬剤耐性菌は医療現場で注目されていて、その重要度・緊急度も上がってきています。
人の話ですが、2019年の世界における薬剤耐性菌関連の死者数は、マラリアやHIV/AIDSを上回っているという報告が発表されました。
このまま薬剤耐性菌が増え続けると近い将来、治せない病気が増えていき今以上に多くの命が助けられなくなる危険性が指摘されてます。
診察室でも薬剤耐性菌のお話はしますが、薬剤耐性菌という言葉や、抗菌薬を正しく使う必要性をご存知の方は少ないと感じるので今回このテーマを選びました。
正しく使うというのは
用法・用量を守って、間を空けずにしっかりと決められた期間使うことを言います。
処方されたお薬は、間をあけて頓服で飲んでもいいものもありますが、抗菌薬は違います!
薬剤耐性菌を増やして病気を治せなくしないために正しく使っていきましょう
オハナペットクリニック
多田