肛門嚢アポクリン腺癌

今回は「アポクリン腺癌」という病気についてお話しします。

 

アポクリン腺とは、皮膚の「汗腺」であり、わんちゃんねこちゃんの場合は体表が毛に覆われているため毛包に開口しています。

 

わんちゃんねこちゃんには耳垢腺、肛門嚢という特殊なアポクリン腺があり、ヒトにはないものになります。

わんちゃんで肛門嚢が腫瘍化してしまう悪性腫瘍であるアポクリン腺癌がしばしば見られます。

 

特徴として、未去勢のシニアの子に発生が多く(より若い年齢や、去勢した子でみられることも)、肛門嚢の腫れにより発見されることが多いです。

体調に問題がなく、お手入れで肛門腺絞りを行った時、、

別の診察で受診時に体温を測ろうとした時など、、

 

進行してしまうと排便障害や、高Ca血症、リンパ節への転移やほかの臓器への転移がみられることもあります。

50%以上の症例で、診断時にはリンパ節転移が起こっていたり、高Ca血症が既にみられていることもあります。

 

肛門にしこりがあった場合、針を刺してどのような細胞がとれるかどうか確認する「細胞診」というもので診断することが可能となってきます。

その後、血液検査や、画像検査を行い、他への転移がないか、他の疾患がないかを確認していきます。

 

今回の症例は、肛門の右側が腫れている様子があり、検査を行ったところ腫瘍が見つかり、切除を行いました。

リンパ節転移はなく、術後抗がん剤治療を行い寛解しています。



アポクリン腺癌の積極的な治療としては、腫瘍の切除(可能であれば転移リンパ節の切除)を行い、併せて抗がん剤治療を行っていきます。

 

その後の転移の有無で予後は変わってきますが、やはり早期発見、早期治療が大切になってきます。

 

体調が問題なくても、身体を日頃触っておくのはとても大切なことです。

ご自宅の子で気になることありましたらいつでもご相談ください。

 

豊田