重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
最近よく目にするこの病気ですが、どのような病気かご存知でしょうか?
マダニによってうつる人獣共通感染症(人も動物も感染してしまう病気)で、現在のところ確立した治療法やワクチンがなく、致死率も高いため、近年とても恐れられている病気です。
日本では2012年に初めて人で発症が報告され、犬では2017年に初めて発症が報告されています。そして2024年3月末までにSFTSと診断された犬は52頭、猫では856頭との報告があります。
詳細な感染ルートは不明ですが、濃厚接触によって動物から人への感染が成立すると考えられています。
まだ不明なことが多い病気のため、人も動物も感染しないよう十分に注意する必要があります。
人における情報は、厚生労働省HPなどに記載がありますので、参考にしてください。
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html
さて、こちらでは犬や猫でのお話をさせていただきます。
[原因]
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウィルス
ブニヤウィルス目、フェヌイウィルス科、フレボウィルス属に分類されるウィルスで、マダニによって媒介されます。エンベロープを持つウィルスなので、比較的消毒薬は効きやすいという性質をもちます。
[感染]
前述の通りマダニによって媒介され感染が成立します。これまでに明らかになっているのはフタトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニという種類のマダニです。ウィルスに感染したこれらのマダニに刺咬されることによって人や動物に感染します。さらにその動物を別のマダニが刺咬することでどんどん感染が広がっていきます。
マダニにも卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニなどのライフステージがありますが、どのステージでも感染が維持されることがわかっています。
中国の流行地では、ヤギ、ヒツジ、ウシなどの反芻動物での感染率が高いと言われており、日本でもシカにおいて抗体保有率が高いという報告がありますが、人や犬を含めた様々な動物で感染が起こると考えられています。
[症状]
まだ症例数が少ないのが現状ですが、急激な食欲低下および活動性の低下を示し、多くの症例で発熱、白血球減少、血小板減少、肝酵素上昇、炎症マーカー上昇などを認めます。末期には神経症状が出ることもあります。
[治療]
前述の通り治療薬は存在しないので、対症療法を行っていきます。発熱に対しては解熱鎮痛薬、消化器症状に対しては嘔吐止めや下痢止め、点滴、必要があれば輸血など、状況に応じて治療をしていきます。
感染を広げないためにも入院にて隔離治療を行い、その子の治療とともに他の子へ感染しないように対策をする必要があります。もちろん人にもうつりますので、飼い主さまや病院スタッフも注意が必要です。
[予防]
治療薬やワクチンがない現在、媒介するマダニの刺咬を予防することが感染を防ぐための最大の武器になります。
人ではそもそもそういった場所に近づかないようにしたり、長袖を着たり対策をしますが、お散歩をするワンちゃんにとってはなかなか難しく、万が一刺されたとしても自分で訴えることができません。刺されたとしても発見が遅れてしまう場合がほとんどです。
よって、マダニ駆除薬による日頃からの予防がとても大切になります。
マダニとノミの駆除薬は一緒になっていることが多く、最近ではフィラリアの予防も一緒にできるオールインワンタイプが主流になってきています。
しかしそれらの予防薬は大体4〜12月くらいまでの期間のみ予防するという認識が浸透しており、冬は何もしない空白の期間になってしまうことが多いです。一昔前はそれでもよかったのかもしれませんが、最近の暖冬傾向では冬でもノミやマダニが活発化していて刺されてしまう危険性があります。
マダニだけでなくノミも病気を媒介したり、ノミやマダニ自体によって貧血や皮膚症状を起こすこともあります。そして今回紹介したSFTSのような命に関わる病気が報告されているので、冬の間も予防を行うに越したことはないと思われます。

当院では冬の間もノミマダニの予防を推奨しておりますので、こういったキャンペーンも行っております。ノミマダニの駆除薬が通常の20%オフでご購入いただけます。
2月末でこのキャンペーンも終わってしまいますので、是非この機会に予防を始めていただければと思います。

そしてこれから春の季節は、本格的なノミマダニやフィラリアの予防時期となります!
こういった駆除薬・予防薬は色々な種類があってわかりにくい…という方もおられるかと思いますので、その際はどんな些細なことでも当院スタッフにご相談ください。
一緒にワンちゃん、猫ちゃんの健康を守っていければと思います。
よろしくお願いいたします。
オハナペットクリニック 二階