犬の大動脈血栓塞栓症

こんにちは🌞

獣医師の石阪です。

今回は、【犬の大動脈血栓塞栓症】についてお話しさせていただきます。

<大動脈血栓塞栓症とは>

血栓が大動脈に詰まり、突発的な後肢の不全麻痺、激しい痛み、足の冷感を引き起こす極めて緊急性の高い疾患です。心疾患、腫瘍、蛋白漏出性疾患などが原因で発生し、迅速な集中治療が必要となります。死亡率はおよそ50%とされ、深刻な予後が予想されます。

<原因>

原因となる疾患は、以下のものが挙げられます。

・腫瘍

・ 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

・ 蛋白漏出性腸症

・蛋白漏出性腎症

・その他

<診断>

身体検査で脈が触れないこと、疼痛反応や足の冷感、

エコー検査で血栓を確認します。

原因となる基礎疾患の精査にはその他レントゲン検査や血液検査など体系的な検査が必要になります。

<治療>

最初はとにかく痛みが強いため、鎮痛剤を使って痛みを軽減します。鎮痛処置をしながら点滴治療、血栓予防薬、必要に応じて血栓溶解療法、外科による血栓摘出術を実施します。

また、血栓の原因となる基礎疾患のコントロールも同時に行います。

<症例>

マルチーズ 10歳 避妊雌

既往歴:クッシング症候群、肝臓腫瘤

数日下痢をしていて震えていたが、本日急に痛がって立てなくなってしまったという主訴で来院されました。

診察室ではうまく立てない様子があり、右後肢は少し触れるだけで鳴いていて、かなり痛みが強い状態でした。

身体検査では右後肢の股動脈圧は触れず、右足の末端は冷感がありました。

この時点で血栓塞栓症の疑いが強く緊急性が高いと判断し、血管確保や鎮痛処置の治療を行いながら検査を進めていきました。

超音波検査で大動脈の血栓を認め、確定診断となりました。

こちらが大動脈に認められた血栓のエコー画像になります。

鎮痛剤が効いてからは辛そうにしていた表情もかなり柔らかくなりました。

治療により徐々に食事も取れるようになって、1週間ほどで退院となりました。

退院から1ヶ月後には大動脈に認められた血栓はなくなっており、足も少しずつ動くようになってきました。

数ヶ月経ったいま、まだ少し足の動きは悪いものの歩けるようになり、食欲も旺盛ですっかり元気になってくれています。

〈まとめ〉

大動脈血栓塞栓症は命に関わる非常に怖い病気です。

今回は幸いにも治療が奏功しましたが、飼い主様が普段からワンちゃんの様子をしっかり確認し異常に気づけた事で早期の治療ができ、回復に繋がったと考えています。

おうちの子がうまく立てない、痛がって鳴いている、などの症状があれば、様子を見ずにすぐご来院ください。

オハナペットクリニック 石阪