動脈管開存症(PDA)

動脈管開存症とは、本来産まれてすぐに退縮しなければならない血管が出生後も退縮できずにいる、心臓の先天性の病気です。

この血管が残ってしまうと血液がうまく循環できず、結果として肺にいく血管と心臓に負担がかかってしまいます。そのまま放置しておくと急激に状態が悪くなり、呼吸が早くなったりチアノーゼなどの症状をおこして亡くなってしまいます。

この病気の診断としては、まずは身体検査です。聴診や触診で特徴的な雑音や、スリルという心臓病のサインが触知されます。

その後、レントゲンで心臓が拡大していないか、肺水腫になっていないか、超音波検査で血流の速さを測ったり血管の太さを測ったりして確定診断をしていきます。そして、手術が適応かどうかの判断をします。

治療法としては、手術が第一選択となります。開胸をして糸で血管を縛る方法とコイルを血管の中に置いてくる方法と2つの方法があります。その子にとってより良い方法を選んでいきます。

進行してしまっている子やまだからだが小さすぎて手術ができない子は内科治療で少しでも進行を防ぐ治療になりますが、やはりいずれは悪化してしまうので、手術が適応な子は手術をおすすめいたします。

当院に来院された症例は、2ヶ月のマルチーズちゃん。体重は1kgでした。セカンドオピニオンでの来院でしたが、上記の検査を行い、PDAの診断がつき幸いにもまだ手術が適応でしたので当院にて手術を行いました。

手術も無事に終わり麻酔からも覚めて、今も元気にすくすく育っております。

これから10年15年と優しい飼い主さんのもとで幸せに過ごしてくれると思います。

オハナペットクリニック
院長 辻川俊介

▶ 画像付き解説はコチラ → 「動脈管開存症」