猫の虹彩メラノーマ

こんにちは🌞

獣医師の石阪です。

今回は猫の【虹彩メラノーマ】についてお話します。

メラノーマとは悪性黒色腫という腫瘍で、眼や口腔内、皮膚にできる悪性の腫瘍です。

メラノサイトという色素細胞が腫瘍化して起こります。

特に猫ちゃんの眼にできる虹彩メラノーマは高確率で転移・再発し、悪性の挙動を示す怖い病気です。

〈眼の構造〉

参照:MSDマニュアル 家庭版 眼の構造と機能より

 

 虹彩とは、瞳孔を取り巻く環状の色の付いた領域で、ここで眼に入る光の量が調節されています。虹彩の働きにより、暗い場所ではたくさんの光が眼に入り、明るい場所では眼に入る光の量が少なくなりますこのように瞳孔は、周囲の光の量に応じて、カメラのレンズの絞りのように散大したり収縮したりします。

この虹彩という器官にメラノーマができると【虹彩メラノーマ】と呼ばれます。

〈診断〉

視診や眼圧測定、超音波検査で仮診断します。

確定診断には眼球摘出による病理組織検査が必要になります。

 

〈治療〉

 第一選択は外科手術による眼球摘出になります。

抗がん剤治療は確立されたものはありません。

外科後の補助療法としては抗がん剤、放射線治療、メラノーマワクチンなどがあります。

外科的に完全切除されたとしても、高確率で転移・再発します。

それが数ヶ月で起こる子もいれば、数年後に起こる子もいます。

主に肺、肝臓、脾臓などへの転移が多いです。

 

〈症例〉

今回紹介する猫ちゃんは、「最近左眼が黒くなってきた」という主訴で来院されました。その他の症状は特になく、日常生活も普通におくれているとのことでした。

こちらが症例の猫ちゃんの写真です。左眼が右に比べ黒く見えます。

院内での検査で左の眼圧が50mmHgと高く(通常20mmHg程度)、超音波検査でも虹彩のあたりが不整な構造物が認められました。

この時点で眼内腫瘍による続発性緑内障と仮診断し、抗炎症薬を使っても眼圧が低下しなかったため、眼球摘出に進みました。

 

 

こちらが眼球摘出後の猫ちゃんの写真です。

大変な手術を頑張って乗り越えてくれました!

 

幸いなことに、腫瘍は眼球摘出によって完全に切除された、との病理結果でした。

片目がなくなって少し見えづらくなってはしまいましたが、元気食欲もしっかりあり、手術後の方が調子が良くなったとのことでした。術前に明らかな症状はなかったですが、もしかしたら多少の眼の不快感はあったのかもしれません。

この子は相談の上、少しの可能性に期待して、カルボプラチンという抗がん剤治療を開始しました。やはり抗がん剤なので下痢や食欲低下などの症状が1週間ほど続きましたが、2週間たった今は下痢は落ち着き食欲も出て元気にしてくれています。

 

〈まとめ〉

眼球内にできる腫瘍は診断が難しく、確定診断には眼球摘出をしないといけません。

しかし痛みなどの明らかな動物の症状がないと、見過ごされてしまうケースも少なくありません。今回の虹彩メラノーマのように、悪性の腫瘍が隠れていることもあります。

おうちの子の眼が急に黒くなってきたら、あまり様子を見ず、早めにご来院ください。

 

オハナペットクリニック 石阪