角膜潰瘍

こんにちは!獣医師の市川です!

目を守るうえで大事なバリア機能を持つ角膜ですが様々な疾患があるのを皆様御存知ですか?

今回は角膜に発生する傷に関してお話させていただきます。

📕病態📕

角膜は『眼球の最も外側にあり、無色透明で、涙液層、角膜上皮、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮の層から構成される膜構造。』とされています。

これらすべての層が十分な機能を正常に保持することで角膜は透明度を保つことができ、感染や乾燥から目を守ったり、潤いを維持することができるのです。

👀症状👀

例えばウイルスの感染症や、ドライアイ、外傷などの様々な原因により角膜に傷が発生した場合、様々な異常な変化が発生します。

例えば、

①角膜融解:通常古くなった角膜を壊し、新しい角膜組織に再生するときに発生するコラゲナーゼが感染により異常に活性化すると健康的な角膜までもが破壊されてしまう変化。

②角膜浮腫(角膜混濁):角膜の層構造の破壊に伴い角膜の透明性が失われてしまう変化。

③血管新生:血管を含まない角膜に創傷治癒の過程として血管が発生する現象。

などなど連鎖的に反応が進んでいきます。

 

🔍️診断🔍️

上記のような角膜表層の変化に対しては当院で導入している『スリットランプ』という機械を用いることにより、詳細に観察することが可能です。

また実際に傷や炎症が角膜のどの深さまで及んでいるのかを調べるために通常『フルオレセイン染色検査』を行います。傷がある場合に黄緑色に黄染される検査となります。ただし、デスメ膜という角膜深部の膜は染色されない特徴があるため、肉眼的に確認できる深い傷は染色されないことがあるため解釈に注意が必要です。

言い換えるとよく染まる傷は比較的浅部の傷であることもあるため、注意深く傷を観察していきます(例外もあり)。

 

💊治療💊

①抗菌薬点眼:感染を抑え、コラゲナーゼの異常発生を抑える。二次感染による治癒障害を予防する。

②アセチルシステイン:抗コラゲナーゼ作用により角膜を守る。

③ヒアルロン酸Na点眼:涙液膜の安定化や補助を行う。

などを中心に治療をかけていきます。

実は角膜は三叉神経という神経が広く分布しているため傷ができるとものすごく痛いです。

つい痛みを取るために痛み止めとして使用したくなりますが、消炎剤は局所薬に関して角膜の傷を治りにくくする副作用があるためやむを得ず使用する必要があるほどの痛みがある時には全身薬を用いて管理します。

余談ですが、保護猫ちゃんでよく見かける猫風邪の主な原因である猫ヘルペスウイルスは、免疫で退治されると三叉神経節に逃げ込む性質があるため、環境の変化などによりストレスを感じると角膜障害に伴い、目をしょぼしょぼさせる仕草が出てきます。ですので保護猫ちゃんで繰り返す目の症状は実はウイルス感染が多いので治療に当たって注意が必要です。

 

目の症状は身近でふとしたきっかけで発生する可能性があるため気になる症状が出る場合はすぐ当院までご相談ください。