猫の結膜リンパ腫
こんにちは🌞
獣医師の石阪です。
今回は、【猫の結膜リンパ腫】についてお話しさせていただきます。
リンパ腫は、リンパ球という免疫に関わる細胞が腫瘍化したものです。
猫ちゃんの腫瘍で一番多い種類になります。
リンパ球は全身にあるので、どこに発生してもおかしくないのがリンパ腫です。
消化器型や鼻腔内型が有名ですが、結膜にできるリンパ腫は比較的珍しい眼型になります。
〈診断〉
細胞診や組織生検をして診断します。
針を刺しての細胞診がしづらい場所なので、一度では診断が出ない場合もあります。必要に応じて早めに切除または組織生検に進みます。
〈治療〉
第一選択は外科手術による腫瘤摘出です。
その後抗がん剤を開始します。
比較的抗がん剤が有効な腫瘍のため、副作用などのバランスをみながら抗がん剤のプロトコルを決めていきます。
〈症例〉
今回紹介する猫ちゃんは15歳でFIV(猫免疫不全ウイルス)陽性、
「1ヶ月前から目の上の出来物ができ、徐々に大きくなってきた」という主訴で来院されました。


こちらが来院初日の写真です。
目が開かず目やにや涙も多く出ており、少し元気食欲も落ちていました。
当院に来る前に他の病院さんで細胞診したが診断がつかず、ステロイドを試してみたものの効果はなかったとのことでした。
飼い主さまと相談の上、まずは生活の質を上げるため、併せて診断のために、全身麻酔下で腫瘤切除を実施しました。

こちらが術後4日目の写真です。
この時は術後なのでまだ少し腫れていますが、その後数日して腫れは引き術部を気にする様子もなく、痛みがなくなったのか元気に過ごしているとのことでした。
病理結果ではリンパ腫との診断が出たので、抗がん剤治療に進むかどうかの相談を重ね、高齢なのとFIV陽性で白血球も少なかったため、抗がん剤はせずステロイド単独での治療をすることになりました。

こちらが術後1ヶ月後の写真です。
腫瘤の再発が認められ、ならびに超音波検査にて腎臓への転移、瞳孔不整や徘徊などの神経症状から脳への転移も疑われました。
飼い主さまの希望で今後は薬などの負担なく過ごしたいとのことだったので、緩和治療でみていくことになりました。
〈まとめ〉
今回かなり早い進行であり、リンパ腫はどこにできても非常に怖い腫瘍ということを改めて感じました。
手術が怖い、麻酔のリスクが怖い、などといった想いのある患者さんは多く、診断のためにどこまですべきか悩むことも多々あります。
しかし今回のように、手術をしたあと生活の質が上がる子も多くいます。また診断がつくことにより予後についても理解でき、最期の時間を大切に過ごすことができると感じています。
治療をどうしていくのかしっかり飼い主さまと話し合い、納得のいく選択をできるようにしたいと思っていますので、
わからないこと不安なことあればなんでもご相談ください。
オハナペットクリニック 石阪