肉球の腫瘤

こんにちは。

 

今回は、肉球に腫瘤ができてしまった猫さんの症例をご紹介します。

 

猫ちゃん、わんちゃんにある、思わず触りたくなるようなプニプニとした肉球。

どういったつくり、役割を果たしているかご存知でしょうか?

 

肉球は、他の皮膚と同じように、表皮、真皮、皮下組織の3つの層からできています。特徴としては、他の部位に比べて表皮の一番上にある角質層が分厚くなっています。

役割としては、走ったり、ジャンプしたりする際に身体にかかる衝撃をクッションのように受け止めてくれます。

また、滑り止め、足音を消す等の役割もあります。

 

肉球の周りには、保湿のために汗腺が存在しています。

そして、表面に血管がないため、一度けがをしてしまうと治りづらい性質があります。

 

今回の症例の猫さんは、野良猫さんで、左前肢の第5指、小指の近くにできものがあるという主訴でした。

半年ほど前に見つかったようですが、他の病院では悪性腫瘍が疑がわれ、特に検査、治療は行っていないとのことでした。

手術をするのであれば断脚するしかないということでした。

 

腫瘤は肉球にかなり近い場所にできており、切除する際は肉球の一部も含めて取る必要がありましたが、断脚することなく無事に切除することができました。

 

写真は手術前と、手術後の縫合を行ったものです。

 



術後は本人がいじってしまわないようにエリザベスカラーの装着と、包帯の処置を行いました。

 

病理検査の結果としては、潰瘍と、その治癒過程で生じる肉芽が伴った過誤腫、腫瘍 ”様”の病変であり、完全に切除が行われれば術後は良好なものでした。

 

退院後は自宅で包帯交換を行ってもらい、現在特に再発することなく過ごしているそうです。



体にできるできものは、似たような見た目でも良性のものあれば悪性のものもあります。

何かしこりがある、大きくなってきている気がする、など気になることがありましたらいつでもご相談ください。

 

オハナペットクリニック 豊田