犬の歯周病
2022年もあっという間でしたね。
オハナペットクリニック は12月12日が5周年でした。
当日はイベントを行い、たくさんの方にお祝いのお言葉をいただきました。
本当にありがとうございました!
これからもみなさんに愛される病院であるように努力していきます。
よろしくお願いいたします。
今回は診察室でよく聞かれる「歯周病」とはなんですか のお話です
① 病気なの?
② どこからが歯周病?
③ 歯を抜かなきゃいけないの?
④ 治療した方がいいの?
① 「歯周病」って病気なの?
ヒトでは、生活習慣病としても知られています。
病気です
《歯垢》(プラーク)や《歯石》などが歯周病原因菌の棲家になります。
これらが、とくに歯周ポケットに入り込み、《炎症》(赤み・腫れ・熱感・痛みなど)をおこして
歯肉や顎骨など歯の周りを悪くしていくのが「歯周病」です
② どこからが「歯周病」?
厳密にどこからというのは すこし難しいですが、
ヒトの歯周病セルフチェックを目安にすると、、
《 ヒトの歯周病チェックリスト 》
・朝起きたとき、口の中がネバネバする
・ブラッシング時に出血する
・口臭が気になる
・歯肉がむずがゆい、痛い
・歯肉が赤く腫れている
・かたいものが噛みにくい(噛むと痛そう)
・歯が長くなったような気がする
・歯と歯の間に隙間がでてきた
いくつか当てはまるなら、ヒトも犬も「歯周病」が怪しいです
獣医師は 診察時に歯石の量や 歯肉の腫れ 後退具合 赤み 歯の動揺 臭いなどをみています。
3歳以上の犬の80%が「歯周病」という報告もあります
(小型犬の場合さらに高率です)
③ 歯を抜かなきゃいけないの?
人のいわゆる「むし歯(齲歯)」は、歯そのものが溶けるので歯を削ってむし歯菌をやっつけて 埋めれば 抜かずに治せます。
犬の「歯周病」は 重度になると 歯はそのままですが、歯の根っこの周り(歯肉や歯槽骨)がやられてしまい、歯がぐらぐらしてしまいます。
とくに歯根が浅い 細い 歯はなりやすいです。小型犬もなりやすいです。
やられてしまった歯の周りは基本は元には戻せないので、こうなってしまうと抜歯が必要になります
歯を無理に残すと根っこの部分に膿がたまったり、隣の歯まで悪くしていきます。
もちろん痛みもあります。
また、歯を抜いた後に、ご飯が食べられなくなることを心配される方も多く よく診察室で聞かれます。
人の場合は、歯がなくなると困るとおもいます。
ただ、犬猫の場合はあまり心配しなくても大丈夫です。
歯の役割が人と違い、犬猫はよく噛んで食べるためではなく ある程度のサイズに食いちぎって丸飲みするための歯なので、丸飲みする子が多数派です。(噛むのが好きな子もいますが、噛まないといけないわけではないです)
フードも丸飲みしても大丈夫な形状に設計されてるものがほとんどです。
歯をたくさん抜いたとしても、術後には術前よりも食べてくれる子がとても多いです。
④ 歯周病って治療した方がいいの?
もちろん治療した方がいいです
歯の臭いや痛みだけでなく、「歯周病」が いろいろな臓器に悪影響を与えることも多く報告されています。
「歯周病」の治療を定期的に行なっている子の方が長生きしましたという研究報告もされました
(年1回スケーリングしているグループは死亡リスクが18.3%低かった)
ただし「歯周病」の治療のためには麻酔をかけなければいけないので、
その点については獣医師にご相談ください
高齢だから麻酔がかけられないという訳ではありません。
もちろん、高齢になると病気も増えて
麻酔リスクが高くなるならば処置を断念することもあります。
歯周病の治療をしようと
術前検査をしてみたら、腎臓が悪いから麻酔が難しい。
あるいは心臓病が重度だから麻酔が難しい
など、
歯はかなりわるいのに麻酔処置が出来ないということも確かにあります。
どの病気でもそうですが、早期治療は負担が少なく有効なことが多いです。
「歯周病」は早期発見がしやすい病気です。
診察時には歯のチェックをしてもらい、
必要なら健康診断をうけて、麻酔リスク評価と、歯周病の評価をおすすめします!
(小型犬の4-6歳は、人の32-40歳なので、これくらいから健康診断を始めることをおすすめします。)
そして歯周病の治療を早いうちからご検討ください
補足
《歯垢》
プラークとも言われ、食べカスと細菌が混ざってこびりついた塊です。
細菌はそのままだと繁殖しづらいので、やられないようにプラークをつくります。
こうなると歯ブラシやデンタルシートで物理的に落とさないと落ちづらくなります
《歯石》
《歯垢》が唾液と混ざって石になります。
こうなってしまうと自宅でのデンタルケアでは落ちないので、麻酔下超音波スケーリングが必要になります。
人は歯垢が歯石になるまで10~14日かかりますが、
犬では3~5日で歯垢が歯石になってしまいます!
(犬では口腔内がアルカリ性のため)
《齲歯》(うし)
いわゆる虫歯のことです。
犬猫では口腔内がアルカリ性だったり、甘いものをあまり食べなかったりするので虫歯はほとんどありません。
が、甘いものや果物をあげていたり、
歯石の下に食べ物が挟まってたりした子で虫歯になることはあるので、人の食べ物はあげすぎないよう注意してください
オハナペットクリニック
多田