食物アレルギー
こんにちは。今回のテーマは『食物アレルギー』についてです。
ヒトでも有名な食物アレルギーですが、実は犬でも認められます。
<食物アレルギーとは>
特定の食べ物に反応して皮膚のかゆみや下痢などのアレルギー症状を引き起こす病態。
<診断>
まずはかゆみの有無を確認し、ノミダニなどの外部寄生虫や微生物の感染症、皮膚腫瘍などを除外します。
除外が終わり、アレルギーによるものとなれば、次に臨床兆候から食物アレルギーを見分けます。
ただし、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを区別するのは困難で、二つが合併する場合もあります。
食物アレルギーに特徴的な臨床兆候として、以下が挙げられます。
①目・口、背中、肛門周囲の痒み
②1歳未満から見られる不特定部位の痒み
③1年中見られる症状
④1日3回以上の糞便回数
これらのうち1つでも当てはまるものがあれば食物アレルギーの可能性があります。
アレルゲンを含まない食事によって皮膚症状が改善するか確認する除去食試験やその後に以前の食事に戻して皮膚症状が再燃するかをみる食物負荷試験、血液でのアレルギー検査などを組み合わせて診断していきます。
<血液でのアレルギー検査>
食物アレルギーの検査は、血液検査でのリンパ球反応検査とIgE検査の2種類あります。
犬の食物アレルギーはリンパ球が関連しているもの(Ⅳ型過敏症タイプ、遅延型)が80%、IgEという抗体が関連しているもの(Ⅰ型過敏症タイプ、即時型)が30%を占めるので、2つの検査を実施します。
この2つの片方のみ検出されるパターンと、両方とも検出されるパターンもあります。
月齢が6ヶ月以上で、症状が出ているときに行います。
金額は3−4万ほどかかることがほとんどですが、必要に応じて行っていきます。
<低アレルギー食>
アレルギー食は大まかに分けて以下の3つあります。
新奇蛋白食、加水分解食、手作り食
・新奇蛋白食:これまで口にしたことがない新奇蛋白質を主成分とする食事
・加水分解食:蛋白質を加水分解により分子量の小さなペプチド単位にまで分解した食事
この2つでもコントロールが難しい場合は、手作り食に移行していきます。
*写真は一部のドライフードです。
<予後>
食物アレルギーは原因となる食物成分を除去することで予後は良好な疾患です。
おうちの子が体を床や机に擦り付ける、足でガリガリかいてしまう、などのかゆみ行動が出ていたら、お早めにご来院ください。
オハナペットクリニック 石阪