胆嚢破裂・中央肝区域切除
胆嚢破裂・中央肝区域切除
今日は先日行った緊急手術についてお話しいたします。
症例は急に元気が無くなってしまったアメリカンコッカーです。
かなりぐったりして来院いたしました。
急いで色々と検査をすると
・とても重度の炎症がある
・その炎症はお腹の中で起きている
・黄疸がおきており、その原因は「胆嚢」という消化酵素が入った袋が破裂している可能性がある
・その影響で急性膵炎・腹膜炎を起こしている
ということがわかりました。
この胆嚢破裂はとても重篤な病態で命に関わる病気です。
緊急手術が必要になります。
ただし、この子は胆嚢破裂の影響で急性腹膜炎・急性膵炎にまで陥ってしまっているので今すぐ麻酔をかけるということができませんでした。
まずは集中治療管理で、少しでも炎症を抑える治療を行い、最も手術のリスクが少ないタイミングを見計らい手術を実施する必要があります。
毎度感じるのですが、この手術のタイミングがとても重要です。
早すぎても遅すぎても手術・麻酔は上手くいかないのです。
集中治療後、麻酔をかけてお腹を開けてみると
予想通り、かなりの炎症でお腹の中には腹水がたくさん溜まっていました。
また、胆嚢はおそらく過去にも何度か炎症を繰り返していたようで、すでに周りの肝臓とくっ付いていており(癒着)、その肝臓も重度に炎症を起こしていました。
そのため胆嚢だけを取ることができずに周りの肝臓も一緒に切除いたしました。
無事に手術は終わり、お腹の中を丁寧に洗浄して終了いたしました。
取れた胆嚢の中にはゼリー状の内容物がたくさん詰まっていました。
この状態を「胆嚢粘液嚢腫」と言います。
胆嚢粘液嚢腫はいつ破裂してもおかしくない危険な状態なので、事前に病気がわかっていれば予防的に手術で胆嚢を切除することをおすすめいたします。
破裂してからの手術はとても大きなリスクを伴いますし、命を落とすことも少なくありません。
幸い今回の子は術後の経過も良く、無事に退院をして今も元気に過ごしてくれています。
よく頑張ったね!
オハナペットクリニック
辻川