脾臓腫瘤
こんにちは
今日は脾臓の病気についてお話します。
「脾臓」は少し地味で、あまり馴染みがない臓器かとおもいます。
獣医学の本には、 ”脾臓は通常、赤血球の貯蔵槽としての機能を果たし、造血能や重要な貪食能を持ち、そして免疫応答性に寄与している。” と書かれています。
言い換えると、必要なときに血を回せるように貯めておいたり、若い赤血球を育てたり、古くなった血球を壊してリサイクルしたりする臓器です。
そんな脾臓では腫瘤性の病変が見つかることがあります。
腫瘤(しゅりゅう)とは”しこりやコブ”の事です。
(写真)脾臓の中央に大きな腫瘤があります。
こういった腫瘤はその原因が、腫瘍(悪性腫瘍はいわゆる”がん”)であったり、腫瘍でなかったり(非腫瘍性疾患)します。
どっちなのかを調べるためには、針生検(細胞診)などの検査がありますが、答えが分からないことも多いです。
腫瘍だと血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫などの病気が
非腫瘍性疾患では、血腫や結節性過形成などの病気があります。
基本的には非腫瘍性疾患の場合は、命の危険は少ないですが、しこりのサイズが大きくなると悪いものでなくても破裂して出血してしまう事があります。
(悪性腫瘍はとくに破裂・出血しやすい傾向があります。)
そのため、腫瘍の可能性が高い場合や、破裂の恐れがある場合は外科手術による摘出を行います。
これらの腫瘤は摘出して病理組織検査を実施する事で、原因がはっきりします。
転移リスクがない病気の場合は、摘出する事で治療も終了しますが、転移リスクのある病気の場合は検査結果が出た後に、抗がん剤治療を行うこともあります。
脾臓腫瘤は、血液検査では見つかりにくく、
”元気がない”という理由で受診したときに実は破裂している場合もあります。
出血が少なく、速く摘出するための機器を使っています。
手術時に腹腔内に溜まっていた血液です。
状態によっては輸血が必要になることもあります。
脾臓の腫瘤は、存在していたとしても、破裂したり末期にならない限り症状が現れることが少ないです。
早期発見のためには
中齢(6歳前後)を過ぎた子では定期的に超音波を含めた健康診断をおすすめします。