会陰ヘルニア
こんにちは
今回は ”会陰ヘルニア” という病気のお話です。
「ヘルニア」とは体の一部が本来の場所からとび出てしまうことを言います。
”会陰ヘルニア”は 会陰部(お尻周り)の筋肉が薄くなり、直腸や膀胱など下腹部の臓器が、腹部から皮下に出てしまう病気です。
猫では稀で犬でみられます。
この病気にはさまざまな要因がありますが、
ほとんどは未去勢の子(93%)で、また 5歳以上の子にみられることが多いです。
予防に早期の去勢手術がとても有効です。
”会陰ヘルニア”の症状は、便秘や排尿困難など ヘルニアで別の位置に移動してしまった臓器の動きが悪くなることによりさまざまな症状が起こります。
臓器が絡まったり、絞まったりしてしまうと急変のリスクもあります。
そのため治療は外科手術によるヘルニアの整復が推奨されます。
この写真の子は
お尻の右側(画面上側)の皮下に ”会陰ヘルニア”があります
(写真は麻酔がかかって、お腹の中に臓器が戻って へこんでいます。)
ヘルニア部分を切開すると、本来筋肉が帯のように覆っているはずが、筋肉が萎んで穴が開いていました。
この部分を今回は周りの筋肉を縫い寄せて、穴が開かないように整復しています
”会陰ヘルニア” は症状の重さによって手術の難度がかなり幅のある病気になります。
特に長期間経ってしまうとヘルニアの穴が大きくなり、塞がりにくくなってしまいます。
症状が出たら、可能なら早めに手術を検討することと、
何よりも予防のために去勢手術を行うことをお勧めします。
オハナペットクリニック 多田