肝障害

こんにちは。

今回は、肝障害についてお話します。

 

肝臓には大きく分けて3つの働きがあります。

それは

①タンパクの合成、栄養の貯蔵

②有害物質の解毒、分解

③消化に必要な胆汁の合成、分泌

です。



肝臓は、「沈黙の臓器」ともいわれており、ダメージが加わっても

なかなか症状として現れづらいとされています。

軽い消化器症状のみの場合や、重度の場合急性の肝炎や肝硬変を

起こすこともあります。

 

主訴として、元気・食欲の低下、嘔吐、神経症状などが挙げられます。

 

状態がかなり悪い場合は、黄疸が見られることが多いです。

分かりやすいものだと、白目、粘膜、皮膚が黄色っぽくなる、

尿が普段よりかなり濃い黄色になる、などがあります。



原因としては消化器の炎症による派生、食事、毒物、細菌感染、

ウイルス、、、さまざま考えられます。



今回の症例は、頻回嘔吐が主訴で来院された、4歳のチワワさんです。

 

元気も食欲もあるが、ご飯を食べた後に何度も吐いてしまうということでした。

誤食はおそらくないとのこと。

超音波検査では、胃の中にガスが溜まっている様子がありました。

 

制吐剤などを使い、念の為翌日ご飯を食べない状態での来院をお願いしました。

 

次の日、食欲はあり嘔吐もないが、ゲップがよく出る、

昨日より元気がないとのことで、再度超音波検査をしたところ、

胃内容物が残っている様子と、消化管の運動機能が落ちている

様子が見られたので、どこか臓器などで異常が起こっていないか

調べるために血液検査も行いました。

 

すると、肝臓の数値がかなり高くなっている様子が見られました。

 

このわんちゃんは、皮膚に対しての脂肪分が多く含まれるご飯を食べていました。

脂肪分の多いご飯やおやつは、肝臓に負担がかかることがあります。

 

本人の年齢や、状態、超音波検査での結果、原因はご飯によるものか、

気づかないところで何か中毒性のあるものを食べてしまったこと

によるものかが考えられ、入院治療を行うことにしました。



静脈点滴を行い、薬を使いながら日々肝臓の数値をモニターし、

入院中は低脂肪のご飯を食べてもらいました。

 

1週間ほどでかなり数値も落ち着き、制吐剤なしで嘔吐がなくなったので、

現在通院治療に切り替えています。

数値もその後順調に下がっていて、本人も元気に過ごしています。

 

今後は数値が正常値になった時に、ご飯をどうしていくか、検討が必要になってきます。



今回の症例は、一見すると肝臓に関係のないような症状にも見えますが、

血液検査をすることでわかったものになります。



気になる症状がある、数日経っても改善が乏しい時は、

しっかり検査することが大切です。

気になることがございましたら、いつでもご相談ください。





オハナペットクリニック  豊田