股関節脱臼

こんにちは。

今回は股関節脱臼についてお話しします。

 

股関節の脱臼は、激しい運動をした、高い所から落ちた、事故にあった等、さまざまなことが原因で起こります。

 

股関節は、骨盤の寛骨弓に脚の一番太い骨である大腿骨の先端部分、骨頭がはまっている状態が正常となります。

脱臼は、股関節を覆う関節包の破綻、靭帯の断裂、そして骨頭が外れることで起こります。

青い◯が正常の股関節、赤い◯が脱臼している状態です。

骨頭が背側に外れているのが分かります。

 

よく、特にワンちゃんで、脚を挙げている、けんけんしているといった症状が出ることがありますが、多くは”膝蓋骨”の脱臼が原因です。

しかし、程度が軽い場合は、膝蓋骨脱臼は脚の曲げ伸ばしで自然に戻ることが多く、おおくのわんちゃんは自分で整復することができます。

 

股関節脱臼は、一度外れてしまうと自分の力で元に戻すことができす、脚を地面につくことはほぼできません。

レントゲンにて検査を行い、実際に外れてしまっているのか、またどの方向に外れてしまっているのかをチェックします。

 

外れてしまった場合、最初の処置としては麻酔をかけた上で非観血的処置として整復を行います。

外れてしまった骨頭を元の位置にはめる処置です。

そして包帯で固定し、しばらく安静にしてもらいます。

 

ただし、整復はあくまで骨頭を寛骨弓にはめ直すだけで、関節方や靭帯が元に戻るわけではないので、多くの場合再脱臼してしまいます。

 

その場合、次の処置としては、観血的処置、つまり外科手術が適応となります。

外科手術にはいくつか方法があり、

①関節包の縫合

②トグルピンという特殊な医材を用いて股関節を固定する

③骨頭切除

が挙げられます。

 

①、②の方法は、③と比べると再脱臼のリスクがありますが、③はそもそもの脱臼の元となる骨頭を取ってしまうので、再脱臼のリスクはありません。

 

骨頭を取ってしまって普通に歩けるようになるの、、?と心配になるかもしれませんが、骨頭がなくなった場所は組織が徐々に埋めてくれるので、しばらく経てば普通に歩けるようになります。

何か大会に出る、などの競技的運動は難しいですが、歩く走るの普段の生活は問題なく行えるようになります。

 

股関節脱臼は、滑って転ぶだけでも十分起こりうるものです。

普段の生活の中でも、滑りにくい工夫、例えばフローリングではなくカーペットや何か敷物を敷く、爪の伸びすぎ、肉球間の毛の伸びすぎに注意を払うなどを行っていきましょう。

 

オハナペットクリニック  豊田