線維肉腫
線維肉腫(ワクチン肉腫)
今日は線維肉腫というとてもこわい腫瘍についてお話しいたします。
線維肉腫は皮膚の下にできる悪性の腫瘍であり、原因はワクチンによる刺激だと報告されています。ワクチン以外の他の注射でも起こると言われていますが、やはり多いのはワクチン(特に不活化ワクチン)だと言われています。
この線維肉腫が怖いのは
①ワクチンの接種した後大分時間が経ってから発症すること。
②とても腫瘍の進行(浸潤性)が高いこと。
③なのでかなり大きな範囲を手術しなければいけないこと。
④そして手術の後の再発率がとても高いこと。
ということがあげられます。
でもほとんどの飼い主さんがワクチンを打ったところに腫瘍ができるなんて知らないですよね。
今回の症例の猫ちゃんの飼い主さんもそんな事は知らずに
背中にしこりができたと来院されました。
話を聞くと数年前に不活化ワクチンを背中に打った記憶があるとのこと。
もしかして…と針で細胞診を行うと、やはり線維肉腫を疑う細胞が!
ツルーカットという組織検査の結果、診断は線維肉腫。
早急にCT検査を実施して、手術の可否と手術計画を行いました。
CT検査の結果、まだ今なら手術は可能と判断。
しこり自体は3cmくらいでしたが、実際に切除した部位は30cmにもなりました。
傷口の癒合も問題なく、歩行障害も残りませんでした。
この症例からの注意喚起としては
猫のワクチンは首には打たないようにしましょう。
必要のない不活化ワクチンは避けましょう。
注射部位にしこりができたら様子を見ないですぐに受診しましょう。
という事です。
今現在、術後6ヶ月ほどになりますが、再発もなく元気にすごしてくれています。
このまま再発がないことを願っています!
オハナペットクリニック